そして、ル・トロネ修道院へ
2014年 06月 24日
ステンドグラスから差し込む光。
暗い修道僧の寝室の石を照らすその光景はハッとするほど美しい...。
南仏プロヴァンス地方の三姉妹と呼ばれるシトー会修道院のうち、また訪ねていないル・トロネ修道院にやって来ました。
ここは1160年に建造が開始されました。修道院から近い採石場で石材を切りだし、粘土をこねて瓦をつくり、森林から材木を伐採するなど、すべてが修道院にかかわる人々による手作業で建てられたそうです。
死ぬほど苦しい作業だったのでは... 信仰の力ってすごいですね。
さてさて、この修道院は建築家に高い評価を受けています。
なかでも、ル・コルビュジエ(Le Corbusier)がラ・トゥーレット修道院の設計に際し、この修道院を訪れて多大な影響を受けたことは有名。
簡素で純粋なフォルムが生み出すシルエットと空間が美しいと...。
※ル・コルビュジエ:上野の国立西洋美術館設計者
早速、修道院付属の教会から...。
教会中央に入口がないのは、巡礼者や信者を受け入れていなかったから。
左右に二つの入口は、左は修道士(助修道士)、右は修道僧。
※修道士(助修道士):オリーブ油やワインを製造したり農業に従事。
修道院付属教会中央奥にある3つの窓は三位一体(父と子と聖霊)を表現しているそうです。
左小聖堂天井には天使の絵。
教会左手の階段を数段上って左手の小部屋は、修道院院長神父の寝室
大きい広間は修道僧の共同寝室。ステンドグラスがはめ込まれた窓のまえに一人ずつ眠ったそうです。
寝室から回廊上にあるテラスに出ることが出来ます。
寝室中央の階段を下りると回廊。瞑想しやすいように壁は厚く、採光窓も飾りがなく簡素な造り。
こちらは教会参事会室で修道僧たちが集まり話し合いをしたり、修道院長の選挙を行った場所。
ここの天井にはヴォールト、柱には装飾。ゴシック建築の特徴です。
参事会室に差し込む光が織りなす陰陽
回廊中央の中庭内に建てられた洗手室。反対側に食堂があった。
建物内の洗手礼用水盤
一番奥に建てられた荒廃した別棟は、修道士(助修道士)のためのもので、1階が食堂で2階が寝室。
今日は回廊に座って建物を閉館までスケッチ。
昔は村から離れた静かな森の中だったのですが、森は切り開かれてブドウ畑やオリーブ畑が広がっていました...。
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